少数派の美学


巨大な物に手向かうその姿、そこには一種の悲壮感に満ちた美しさを感じる時があります。
例えば、兄頼朝に歯向かう源義経。憎らしいほど強いと言われた横綱北の海に対する先代貴ノ花。
事例としては古いし、的確ではないかも知れません。
でも、この時計に同じような美学を感じる、と言ったら言いすぎでしょうか。

ギャレット エクセルシオパーク





ギャレット・エクセルシオパーク、バルジューやビーナスと比較すると、知名度は低いかも知れません。
ギャレット自体の生産数が少ないですし、ほとんどがそのギャレットで使われたエクセルシオパークというムーブメントに至っては、押して知るべしと言ったところでしょう。
事実、バルジューやビーナスは、このホームページでも紹介していますように、シースルーバックの筐体を持った時計によって、ムーブメント自体がよく知られています。
それに対して、エクセルシオパークのムーブメントは、ギャレットにシースルーバックの筐体の時計がほとんどないため、目にすること自体稀です。

そのエクセルシオパークのムーブメントが見たい!。今回ギャレットを入手出来た時から、そう思い続けて来ました。
そして、例の悪い癖がまた出てしまいました。そう、シースルーバックの裏蓋を作成してしまう、あの悪い癖です。

そして、出来上がったのが、ここにご紹介する時計です。如何でしょうか?。決してバルジューやビーナスに劣るものではないと思うのは、わたしだけでしょうか?

このムーブメントは、3針のエクセルシオパーク40と思われますが、その構造はオリジナリティに富んでおり、
上の写真をご覧頂くとお分かりの通り、丁度バルジューやビーナスのムーブメントを90度回転させたような構造となっています。

トランスミッションホイールは、時計の上部から伸びる長い部品に支えられ、ゼンマイの動力をクロノグラフ針に伝えます。
リセットハンマーも、まるで上下逆の位置にあります。違いは、エクセルシオパークのドライビングホイールが、ブリッジで強化されていることでしょうか。
ゼンマイも、上下逆の位置にあります。その他の部品もその多くの位置が逆転しています。

そして、特筆すべきはプッシュボタンの操作の軽さ、特にリセットボタンに至っては羽のように軽いといっても過言ではありません。
そして、この個体は前オーナーの手入れがよかったのか、よく見られるプッシュピースと本体の間の錆も全くなく、美しい状態を保っています。

そして、最後にちょっと遊んでみました。この時計のブレスレッドは、あのブライトリングです。
思いつきでちょっとつけてみたら、これがサイズといい色合いといい、ぴったりです。時計との間もあつらえた様になじみます。
あくまでも例外ですが、こういう遊びもぴったり決まると楽しいものです。当面はブレス仕様で使っていこうと思います。


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