ミネルヴァの誘惑

ミネルヴァは本来ローマ神話における戦いの女神です。ギリシャ神話でのアテナと同一視されています。
女神ですから美貌だったのでしょう。炎と鍛冶の神であるへーパイストスが片思いするくらいですから。
その美貌の女神の裸身をちょっと覗いてみました。罰が当たるでしょうか?

ミネルバ CAL13-20CH






ミネルバの時計については既に「ミネルヴァの梟」のテーマで書かせて頂き、既にこの20CHも掲載しております。
しかし、時計の外見だけでは何の変哲も無い唯のクロノグラフです。唯一の特徴として、2つのプッシュボタンの間隔が
大きく離れていることから、ムーブメントが20CHであることが判ります。しかし生産数はヴァルジュー等と比較し、圧倒的に少ないのです。

この20CHが何としても見たい、何とか裏蓋をシースルーに出来ないものか、そう思ってネットを検索したところ、ありました。
トップページに既にリンクさせて頂いている「わらや倶楽部」さんです。その後のやり取りは別にして(丁寧に対応して頂きました)、
現在の裏蓋を加工することは出来ないが、裏蓋を別作することで可能であることが判り、注文させて頂きました。
そうして指折り待つこと数週間、時計が出来上がり、手元に届いた時の嬉しさは忘れることができません。
そしてようやく女神の裸身を覗き見ることが出来ました。(ピーピングトムじゃないですけどね)。

別作した裏蓋の仕事の見事さと同時に、まるで見られることを前提にして作られたようなムーブメントの美しさ、言葉を失いました。
シースルーバックの画像をクリックして頂くと拡大したムーブメントの画像がご覧頂けます。是非ご覧下さい。時計好きであれば魅了されると思います。
カッパーメッキが施され、丁寧に面取りされたブリッジや各パーツは、繰り返しになりますが、見られることを前提に作られたように美しく輝きます。
もしかしたら、見慣れたヴァルジューやビーナスと違うだけに、より美しく、そして繊細に感じるのかも知れません。

そして、ダイヤル面と合わせて、さび一つ無い状態の良さは、この時計への旧オーナーの愛情を感じさせます。
こういった遺産を次世代に引き継いでいくことは、私達の責任なのかも知れません。

(2009年6月9日追記) 人間の欲望は果てしないものです。新しく作成したシースルーバックの裏蓋(ステンレス)と、本体(RG)の
色合いの違いがどうしても気になってきて、新しく作成した裏蓋にRGメッキを施しました。(此処に掲載した写真も入れ換えました)
このRGメッキも、わらや倶楽部さんでお願いしました。写真でご覧頂いてもお分かりの通り、まったく同じ色合いで見分けがつきません。
見事なお仕事に感謝、感謝です。