2つの本質

腕時計とはいったい何なのでしょう?勿論時間を計る道具です。
でも、本当にそれだけでしょうか?例えばこの腕時計のように。

ノーブランド スケルトンヴァルジュー23





此処に掲載したのは、ノーブランドのスケルトンのヴァルジュー23のムーブメントを持った腕時計です。
ノーブランドですから、どこにもブランド名が書いてありません。唯ヴァルジュー23を意味するVX23の文字がケースにあるだけです。
今は、インターネットという便利な道具がありますので、多分この時計は「クロード・メイラン」製だと見当がつきます。
(唯、どういう経過で何故ブランドが書かれていないのか、までは分かりませんけどね)

この時計は、物事の本質はいったい何なのか、という事を大げさに言えば問うているような気がします。
何故ならば、この時計は時計として必要をされることを最小限実現し、後をアクセサリーとしての装飾機能に振っているからです。
つまり、この時計は時計としての必要最小限の機能と、アクセサリーとしての存在価値の、2つの本質を持っているのです。
大げさに言えば、時間が分かりまた測れる、ブレスレッドと言った方がいいのかもしれません。

まず、時計としては、エボーシュには、クロノグラフの名機、ヴァルジュー23が使用されています。先に書きましたように、
その事を示すVX23の文字が、ケースの裏蓋に刻まれています。時計として、一流のエボーシュを使用しているわけです。

次に、アクセサリーとしては、見た目が美しいのと同時に、所有する価値という事が重要になってきます。
その為に、時刻を示す三本の針を最小限まで細くし、その分ムーブメントの美しさをより良く見せる工夫がされています。
ダイヤル面が切り抜かれているのは言うまでもありません。驚くのはクロノグラフ車を支えるブリッジまで切り抜かれていることです。
また、地盤やブリッジはエングレービングの装飾が施され、シースルーバックの裏蓋を透して見る楽しみを与えてくれます。
止まっている状態からネジを巻くと、チラネジを持ったテンプがおもむろに回り始める、それが時計をしたまま見れるわけです。
併せて、ケースはWGが使用されており、アクセサリーとして所有する喜びを与えてくれています。

こんな一種の遊び心を持った腕時計を作り、そして所有するゆとりと喜びを忘れないでいたいものです。