主無き器

あなたは、マーク・レビンソンをご存知ですか?
天才的なオーディオアンプの設計者です。


ダニエルロート マニュアルクロノグラフ




ダニエルロート スポーツクロノグラフ




突然、オーディオの話で申し訳ありません。
ダニエル・ロートが会社を去ったと聞いた時、どうしてもマーク・レビンソンとの相似関係が頭を離れなかったもので。

オーディオと機械式時計には、よく似た側面があります。創業者の名を付けることの多いハイエンドメーカーには特にその傾向があるようです。
天才と呼ばれる、その時代を抜いた才能を持った人物が、創業者の場合が多いこと。意外に小規模であること。ゆえに買収や吸収・合併が多く
結果として、名前と製品とはまったく関係がなくなってしまうことなど。

ダニエル・ロート本人が去ったロート社は今後いったいどうなるのでしょうか?
そして、独自のダブルオーバルケースを失ったロート自身は今後どうやってそのアイデンティティを確立していくのでしょうか?

このマニュアル・クロノグラフは、天文学的な価格のコンプリケーションやトゥールビョンは別にして、
ダニエル・ロートのモデル中、最も好きなモデルです。

どこか、プレゲの面影を偲ばせるダイヤルは気品あるもので、持ち手を選ぶような気位の高ささえ感じさせます。

搭載された、ヌーベルレマニア社製のムーブメントは、18000振動、コラムホィール、スワンネック付き緩急針、
巻き上げひげゼンマイ、チラネジ付きテンワなど、現在も生産されているのが不思議なほど、古典的魅力に溢れた機械です。
(画像をクリックして頂くと拡大してご覧頂けます)

基本的には、オメガのスピードマスターに使われたCAL321と同じですが、写真等で比較する限り、石数等高級化(21石)されていますし、
磨きと仕上げが徹底的に施されています。クロノグラフのスタート・リセットボタンも、軽く質感のあるものです。

ダニエル・ロート自身がいたロート社時代の作品として、大切にしていきたいと思います。


なお、同時に掲載しているのは、ゼニス社のエルプリメロを搭載したスポーツクロノグラフです。
(こちらもムーブメントの画像をクリックして頂くと、拡大してご覧頂けます)