祭りの終わり

子供の頃のお祭りは楽しいだけに、終わった後は言いようもなく寂しいものでした。

ジャケ・エトアール パルスメータークロノグラフ





お祭りに例えるのはどうかとも思いましたが、他にいい言葉が浮かびませんでした。ジャケ・エトアール パルスメータークロノグラフ。
この作品以降、ジャケ・エトアールからは、オールドムーブメントを試用したクロノグラフは発表されていないように思います。

パルスメーターとは、医者や看護婦などが使う時計で、脈拍数を計測できる目盛がダイヤル外周部に表記されています。その使い方は、
15,20,30などの脈拍の基準計測回数を基にして、スタートと同時に脈拍を測ります。そして基準の脈拍回数に達したらストップし、
そのとき目盛が指している数字が1分問の脈拍数という訳で、その機能と時計としての機能を併せ持った時計が、パルスメータークロノグラフです。

今回の時計はそのパルスメーターで、エボーシュはヴァルジュー23、白の文字盤にシースルーバックの裏蓋を持っており、
ケースはスターリングシルバー(925)が使用されています。またムーブメントには、コート・ド・ジュネーブの装飾が施されています。

ご注意頂きたいのは、センターと積算計の歯車を押さえているブリッジです。明らかに他のブランド名を後から削り取った跡が楕円状に残っています。
この頃には、ジャケ・エトアールのヤコブ氏のエボーシュの在庫も底を尽き、また新たな入手も困難になったのだと思われます。
苦肉の策として、既に他のブランド名が刻まれているエボーシュを使用したのだと想像します。またこれ以降、目を引く作品の発表もありません。

お祭りは必ず終わるもの、でも来年また楽しいお祭りが待っています。ジャケ・エトアールからの新しい提案を待ちたいものです。